今年1月に厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」が、パワーハラスメントの予防・解決に関する報告を取りまとめました。これをうけて、今年3月には、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」が「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」を公表しました。
■問題の背景■
「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」が社会問題として顕在化した背景には、企業間競争の激化による社員への圧力の高まり、職場内のコミュニケーションの希薄化や問題解決能力の低下、など、多様な要因が指摘されています。しかし、問題の当事者である労使の間でこの問題の重要性に気づいていない場合や、気づいていたとしても「いじめ・嫌がらせ」「パワーハラスメント」と「業務上の指導」との線引きが難しいなどの理由から、「取り組みが難しい」「取り組む場合でも管理者が及び腰になる」など、問題の対応への困難さが指摘されています。
■職場のパワーハラスメントの行為類型■
職場のパワーハラスメントの行為類型としては、次のものが挙げられます。
①暴行・傷害(身体的な攻撃)
②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
③隔離・仲間外し・無視(人間関係から切り離し)
④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
⑤業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
■職場のパワーハラスメントの予防・解決■
職場のパワーハラスメントの予防するためには、
○ 組織のトップが職場のパワーハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に示す
○ 実態を把握するために、従業員アンケートの実施
○ 予防・解決についての方針やガイドラインの作成
○ 企業内・外に相談窓口の設置、外部との連携
○ 行為者に対する再発防止研修の実施
などが、挙げられています。
(出所:職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告)