厚生労省社会保障審議会の「短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」の第2回会合で、パートの社会保険適用拡大に向けた論議が行われています。
■パートの社会保険の適用基準について■
現在、厚生年金のパートへの適用は、1日の勤務時間と1カ月の勤務日数が一般社員のおおむね4分の3以上ということから、1週の労働時間がおおむね30時間以上で適用というのが一つの目安となっています。
適用拡大への新基準では、「30時間以上」を「20時間以上」に引き下げを軸に、勤務期間については現行の雇用保険に合わせ31日以上にするのか、賃金水準については現行の厚生年金の標準報酬下限 (月額98,000円)を引き下げるのか、が論点となっています。
なお、健康保険の標準報酬月額の下限は、平成19年4月から58,000円に変更となっています。月収8万円のパートが適用拡大で厚生年金の被保険者となった場合の、事業主と被保険者それぞれへの負担や給付等への影響を見てみましょう。
■第1号被保険者であるパートが適用になった場合■
① 国民年金の保険料月額15,020円の負担から、現行の標準報酬月額98,000円で被保険者となると、労使それぞれの保険料負担は月8,042円となり、40年間加入で年金額は月21,362円増となる。
結果、パート自身の負担は軽くなり、基礎年金の他に厚生年金からの年金も上乗せされる。
■第3号被保険者であるパートが適用になった場合■
②現行の標準報酬月額98,000円で被保険者となると、①と同様の保険料負担と年金額の増額となる。パート自身の負担は増えるが、基礎年金の他に厚生年金からの年金も上乗せされる。
③ 報酬月額の下限を引き下げた78,000円で被保険者となると、 労使それぞれの保険料負担は月6,401円、40年間加入で、年金額は月18,204円となる。
現在、第1号被保険者から約140万人、第3号被保険者から約180万人、 非加入者から約70万人の計400万人が対象者と推計しています。 事業主の負担増が適用拡大反対の側ですが、 女性の社会進出を促進して就業人口を拡大する目標が政府の新成長戦略にあり、その主な要素としての拡大論議でもあります。