従業員が、出勤するためアパートの自室から外へ出ようとしたときに強風にあおられてドアに手を挟んでしまった場合、通勤災害に該当するのでしょうか。
労災保険法第7条では「通勤」を次のように定めています。「通勤とは、労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。」ここで問題になるのは「住居」と「通勤経路」の境界です。通勤の始点及び終点は「住居」又は「就業場所」となりますが、住居と通勤経路との境界については、当該地点が一般の通行の用に供されている場所であるかによって判断されます。いわゆるマンションの場合は、自室の玄関のドアが住居と通勤経路との境界となりますが、共同玄関・共同トイレなどがある共同アパートの場合は、共同玄関が住居と通勤経路の境界になります。このことからすると今回のケースは「通勤」に該当すると思われます。
参考ですが、一戸建ての場合は、門や門戸が住居と通勤経路の境界となります。門や門戸がない場合でも敷地と公道との境界がそれに当たります。したがって、同じドアに手を挟んだケースでもアパートと一戸建ての場合とでは扱いが異なります。