就業規則を作成して労働基準監督署へ届出る際に「労働者の過半数を代表する者」の意見書を添付しますが、この選任方法が本来の意義に沿って行われていない企業が少なくないようです。事業場の労働者の過半数で組織する労働組合のある場合には、その労働組合の意見を聴取することとなりますが、多くの中小企業においては「過半数を代表する労働者」が労働者を代表することになります。
■労働基準法違反で・・・■
36協定の提出に当たって、労働者の過半数代表者に「社長が一方的に指名した」者を記載していた企業が送検された例があります。これは労働基準法違反に該当し「代表者の適正な選出方法を経ていないために協定自体が無効」とされたものです。
「協定が無効」ということは、法定時間外の労働や法定休日の労働を命じたことが、違法行為として罰則を受けるということになります。
■正当な代表者とは認められない例■
「社長が一方的に指名した上、社長当人が署名した」というのは極端な話ですが、以下の例においても正当な代表者とはいえません。
1. 内容も確認しないままに署名・押印させる。
2. 社内親睦会の代表であることを理由に個別的、具体的同意を得ずに署名・押印させる。
3. 投票、挙手などの民主的手続きを経ずに代表を選任する。
4. 手続き自体は民主的であるが具体的権限の範囲を指定
(例:○年○月○日施行の就業規則に関する意見書に関する権限)しない。
■労使間トラブル発生予防のために■
一部の労働基準監督署の窓口ではチェック強化がなされていますが、形式よりも「納得」がトラブル発生予防のカギとなるでしょう。