従業員が仕事中にケガをして、従業員本人が「ケガの程度は軽いから、会社に知らせずに病院に行こう」と健康保険を使って受診すると、後日、保険者(全国健康保険協会・組合健保等)から「今回のケガは仕事中ですか」というお尋ねの文書(以下「照会状」)が届くことあります。こういった場合、総務担当者は照会状が届いてからケガの事実を知ることになり、その後の対応が面倒なことになります。
■病院の対応によって分かれる5号と7号■
保険者から照会状が届き、同封されている回答書に「仕事中のケガです」と回答すると「労災保険の手続きを行ってください」と通知書が届きます。この時点では治療から数カ月が経過しており、保険者が医療機関に支払った治療費の7割と自己負担の3割の返還について医療機関と相談します。医療機関によっては「自己負担分の3割は返却するので、労災保険様式5号(療養補償給付たる療養の給付請求書)を提出してください」という親切なところもありますが「もう時間が経過しているので様式5号は受け付けられません」というところもあります。
■様式5号が受け付けられない場合■
医療機関から「様式5号は受け付けられない」と言われた場合は、次のような流れになります。
① 保険者に治療費の7割を返還
② ①により保険者から送付された領収証書と本人が医療機関で支払った3割の領収書を添付した労災様式7号(療養補償給付たる療養の費用請求書)を管轄の労働基準監督署へ提出
③ 治療費の10割が労災保険から返還
①から③の流れは簡単のようですが、結構ストレスがかかる作業です。注意点としては①の支払いは多額になることがあるので、会社が肩代わりしてもよいのですが、③は原則本人の口座に振り込まれますので、退職が予定されている場合は注意が必要です。②では医療機関の証明が求められるので、様式7号を病院や薬局の窓口へ提出しなければなりません。
総務担当者からは「最初から様式5号を提出すれば ・・・ 」と愚痴が聞こえてきそうです。