問題社員、その言葉の受け取り方は人それぞれかと思いますが、一般的には「能力が低い」「仕事のミスが多い」「遅刻が多い」などが典型的な例かと考えられます。このような社員を放置しておくことは、顧客へのイメージダウンや他の社員のモチベーションも下がるという悪影響をおよぼしかねません。では、問題社員への対処方法として、どのようなことが考えられるのでしょうか。
■段階を踏むことが大切■
問題社員を抱える企業は「問題社員には最終的に辞めてもらいたい」と考えると思いますが、問題社員を“いきなり解雇”したりすると、大きなトラブルに発展しかねません。最終的に解雇に至る場合でも、次の3つのステップが必要でしょう。
① 注意・指導、配置転換、降格・降給、人事低査定
② 自主退職を促す、退職勧奨
③ 解雇(普通解雇・懲戒解雇)
■書面による指導■
まず初めは、上司による注意・指導です。最初は“口頭注意”でもよいと思いますが、それでも改善が見られない場合は
“文書による注意”が望ましいでしょう。文書は、会社が問題社員に伝えた内容が第三者にも分かるので、トラブルになった際の証拠にもなり、顧客からのクレームや、社内メールなども時系列で保存しておくことがよいでしょう。配置転換、降格・降給、人事低査定については、就業規則にその根拠となる条文があることが必要で、実際に行う場合はその理由を書面で明確にすることが望ましいでしょう。
■解雇は慎重に■
解雇の場合は、労基法上の「解雇予告手当を支払えば解雇できる」と考えている企業は多いですが、労働契約法において“客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、権利の濫用として無効”と定められています。つまり、解雇のことでトラブルになった場合は、労基法上の手続きも重要ですが、労働契約法に照らしてどうかが判断されます。裁判例でも、前述の“注意・指導等による会社の努力”が行われたか否かが重要なポイントとなります。