常時10人以上の従業員を使用する事業主は、就業規則を作成して事業所を管轄する労働基準監督署へ届け出ます。しかし、複数の支店や営業所がある場合は、それぞれを管轄する労働基準監督署へ届け出るため、事務処理が煩雑になってしまいます。これを解消するために、就業規則と36協定は、本社を管轄する労働基準監督署に支店や営業所の分も含めて提出することができるようになっています。
■就業規則の本社一括届出■
就業規則を作成・変更した場合は、その就業規則本体、就業規則届と労働者の過半数を代表する者の意見書を届け出ます。本社一括届出の対象となるのは、
①本社を含む事業場の数に対応した必要部数の就業規則を提出すること
②本社で作成した就業規則と各事業場の就業規則が同一の内容のものである旨が記載されていること
③労働基準法第90条第2項に定める労働者代表者の意見を記した書面を、事業場ごとの就業規則に添付していること
の要件を満たしている場合です。
■36協定の本社一括届出■
労働基準法第36条では、労働者に時間外労働や休日労働をさせる場合には、事前に当該事業場の労働者の過半数を代表する者と書面による労使協定(36協定)を締結して、事業所を管轄する労働基準監督署へ届け出ます。本社一括届出の対象となるのは、
①本社と事業場の協定の内容が同一であること
②本社を含む事業場の数に対応した必要部数の協定を提出する
などの要件を満たしている場合です。
■労働組合・労働者の過半数代表者■
就業規則と36協定の一括申請の要領は前述のとおりですが、就業規則の場合は、各事業所の労働者の過半数を代表する者か、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合の名前で届け出ますが、36協定の場合、協定当事者も「同一」である必要があるため、労働者の過半数で組織する労働組合がなければ、一括届出はできないことになります。