年俸制の時間外割増賃金の取扱いと計算における注意点

年俸制を採用している企業は少なくありませんが、年俸制の社員(以下「年俸者」とする)には、時間外労働を行わせても割増賃金を支給する必要がないという意見を耳にすることがあります。しかし、この理解は完全に間違っており、実際には年俸者であっても法定時間外労働・法定休日労働・深夜労働を行った場合には、割増賃金を支給する必要があります。この誤解はわが国で年俸制の導入が始まった当初、その対象が管理監督者中心であったことに起因しているのではないかと思われますが、正しい取り扱いをご理解いただくため、今回は、年俸者に支給する割増賃金の計算方法の注意点を取り上げます。

 

割増賃金計算方法の基礎

今回の問題に入る前に、まずは年俸者ではなく、月給者の割増賃金の計算方法を確認しておきましょう。月給者の場合は、月によって定められた賃金を月の所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1ヶ月平均所定労働時間数)で除した金額に、割増賃金の対象となる労働時間数と割増率を乗じることとなっています。その際、割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)は算入する必要はありません。

 

年俸者の賞与の取扱い
次に年俸者の取り扱いを見ていきますが、年俸者に対する実際の賃金の支払いは通常、以下の2つのパターンのいずれかで行われます。
①年俸額を12で除し、その12分の1を毎月支給する
②年俸額を16で除し、その16分の1を毎月支給し、残りの16分の4を賞与の時期に支給する

これらの支給方法のうち、年俸者の割増賃金の計算においては、②のように賞与の時期に支給される賃金の取扱いが問題となります。そもそも行政解釈では、賞与について「支給額が予め確定されていないものをいい、支給額が確定しているものは賞与とみなされない」(昭和22年9月13日発基17号)と示しています。また、「(支給額が確定した賞与は)「労働基準法施行規則第21条第4号の『臨時に支払われた賃金』及び同条『1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金』のいずれにも該当しないものであるから、割増賃金の算定基礎から除外できない」(平成12年3月8日基収第78号)ともしています。
つまり、月給者の割増賃金を計算する際には、その基礎となる賃金から賞与を除外することができますが、年俸者において、賞与の支給額が確定している場合には割増賃金計算の基礎となる賃金に含めて計算しなければなりません。

 

年俸者の割増賃金の具体的計算方法
以上を踏まえると、年俸者の割増賃金は以下のステップで計算することとなります。
①月額賃金の算出
 年俸額を12で除し、月額賃金を算出する。
②1時間当たりの賃金額の算出
 月額賃金を1か月の所定労働時間で除し、1時間当たりの賃金額を算出する。
③割増賃金を計算する際の単価の算出
  1時間当たりの賃金額に時間外割増率を乗ずる。
④割増賃金額の算出
 割増賃金の単価に割増賃金の対象となる労働時間数を乗ずる。

 

年俸者の場合には、そもそも割増賃金を支払う必要がないという誤りに加え、支払っている場合でもその計算方法が誤っていることも少なくありません。年俸制を導入している企業においては、この機会に割増賃金の計算方法等に誤りがないか確認してみましょう。

 

   社会保険労務士 花澤 賢治
   社会保険労務士 花澤 賢治

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