無断欠勤を続ける社員のことで相談を受けることがあります。会社にとっても頻繁に起きる事案ではないだけに、対応に苦慮します。
■まずは連絡■
無断欠勤や行方不明に注意を払わない企業もありますが、やはり、本人の生死も含めて、確認する必要があります。最近は、多くの社員が携帯電話を所持しているので、連絡手段として活用します。その場合、会社からの連絡を無視することもありますので、そのようなときは、担当部署・所属長以外の人(例えば総務担当者など)からの連絡も有効です。それでも連絡がつかない場合は、自宅を訪問する、手紙を送る、緊急連絡先や身元保証人に連絡するなど、できる限りの手段を用いて連絡に努めることが望ましいでしょう。
■給与・社会保険料■
無断欠勤や行方不明が長期間におよぶと、給与の支払い、社会保険料の控除の問題が発生します。無断欠勤前の既往の労働分についての支払いは、銀行振込の場合は、支払いを一時停止します。現金払いの場合は、本人が欠勤しているため、会社で保管しておきます。支給する給与がない場合でも社会保険料の支払いは発生しますので、そのときは、本人に連絡が取れた際に、未払いの社会保険料の支払い方法について協議することになります。
■退職の通知■
多くの就業規則には、「無断欠勤が△日以上の場合は、懲戒解雇」と記載されていますが、「解雇」は、無断欠勤をしている社員本人に直接意思表示を行う必要があります(家族等にその旨伝えても有効ではありません)。そこで、無断欠勤の対処を「解雇」ではなく「退職事由」にします。具体的には、「社員の無断欠勤(行方不明)が♢日以上およんだ場合は退職とする」と規定しておくことで、本人への意思確認も不要となります。
無断欠勤の原因は、社員の個人的な問題の場合もありますが、会社内の人間的トラブルに端を発することもあります。対応をあやまると後に大きな問題に発展しかねないので、企業側はいつ、誰がどのような対応を行ったかなどの記録をすることも必要でしょう。