労働基準法第 20 条は、「使用者は労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30 日以上前にその予告をしなければならない。30 日前に予告をしない使用者は、30 日分以上の平均賃金を支払わなければならない。(以下省略)」とあります。実際に解雇予告を行った場合、実務担当者はいくつかの疑問に行き当たるでしょう。
■10日後に解雇の場合■
即日解雇の場合の予告手当は、 平均賃金の30日分を支払いますが、10日後に解雇の場合は、残りの20日分の平均賃金の支払いが必要になります。つまり、はじめの10日間は「通常の賃金」、後の20日間は「平均賃金」で支払います。日給や時間給、月給でも退職月は日割計算を行う場合の“通常の賃金”は、出勤日数分となるでしょう。 “平均賃金”の
20 日分には、土日など会社の休日も含まれています。
■具体的には■
前提条件として、
・日給6,000円のパートタイマー
・2月29日に「3月10日付けで解雇」を通知
・会社の休日は、土日祝祭日
・平均賃金4,000円
の場合、3/1から3/10までの賃金は、出勤日数が7日とすると、「通常の賃金」は 6,000 円×7日=42,000 円、「平均賃金」は、4,000 円×20 日=80,000円となります。
■解雇予告手当の支払い日■
解雇予告手当の支払い日は、「解雇の申し渡しと同時に支払うべきである」と通達されていますので、即時解雇の場合は、その意思表示と同時に履行しなければならないと解されますが、上記のように解雇が数日後に予告されるケースでは、予告手当の支払日は必ずしも明確になっていないので、解雇日の3月10日に支払えば足りると考えられます。
■解雇予告手当は賃金か■
解雇予告手当は、 労働基準法第24条の賃金には該当しません。所得税法でも、「退職所得」として取り扱われます。